2023年に訪れたサン=マロで、現地に住む友人と一緒に眺めた夕陽を絵に描いた。昨年、ほぼ未使用のSennelierのパステルセットを譲ってくれた彼女に、この絵を贈るつもりだ。
海岸線沿いのドライブも楽しかったし、一緒に食べたガレットも美味しくて、とても愉快な時間だった。サン=マロも、その前にしばらく滞在したカンカルも、実に居心地のいいところだった。そろそろまた、あの地を再訪したいと思っている。
特にカンカルの海は、まるで内側から発光しているかのように淡い銀色に輝いていて、印象的だった。そしてあの地は、まだ私が東京にいた頃、不意にやってきた白昼夢のような幻影の中で佇んでいた場所にとてもよく似ていた。
不思議な夢の中で見た場所を探して久米島を訪れたり、不意にやってきた白昼夢のビジョンそのままの景色にカンカルで巡り合ったり。思えば私は、よく「夢」に導かれて旅に出て、旅先で記憶の中の景色に再会している。
さらに古い体験を思い出した。
十数年前、仕事帰りに当時暮らしていた谷中の歩道を歩いていたときのこと。慣れ親しんだ目の前の道に、見たこともない石畳が重なって見えた。まるで異なるふたつの場所を、同時に歩いているかのような奇妙な感覚だった。その数年後、私は予想もしない展開に運ばれてチェコに漂着した。そうして確かに、今はあのとき見たような中世の石畳が残る街で暮らしている。
さらに記憶を遡るうちに、二十年近く前に不意にやってきた、あるリアルなビジョンが蘇ってきた。何の脈絡もなく現れたあの風景は、それでもなぜか、懐かしい安心感に溢れていた。あれは旅先ではなく、自分が暮らしている家だった。いつか、あの場所にも巡り合うのかもしれない。