偶然と必然と
Xで相互フォローしている方が京都を訪れていたようで、投稿された写真を見ているうちに、随分昔のことがいろいろと思い出された。 私は大学時代を含め、約10年ほど京都で暮らした。大学卒業後はただ生き延びるために様々な職に就き、住まいも何度か移った。友人の家を渡り歩いた時期もあったし、祇園町で間借り暮らしをしていたこともあった。当時はまだ自分の生きづらさの原因に気づいておらず、暴力的で支配的だった母から逃れ続けたい一心で、京都に留まっていた。振り返れば、あれはまるで、大波に浮かぶ小舟を渡るような日々だった。 数え切れないほどの出逢いや出来事があったはずだが、ふとした時に思い出されるのは、たとえば喫茶店の窓から眺めた雨に濡れる瓦屋根や、行く宛てもなく歩き続けた夜の街の匂いなど、一人でいた時のなんでもない光景がほとんどだ。 そういえば、少し前に、ある人が投稿された写真の中の歩道のタイルに目が留まった。それは、私が京都で一時期勤めていた事務所の近くの通りの歩道だった。場所の特定などできそうにない写真だったが、どうやら私の記憶には確かに残っていたようだ。時に、些細なものほど、より深く記憶に刻まれ…