肉体の置きどころ

日本ではいくつかの街で暮らしたが、生まれ育った街を含め、どこにいても自分がその地に‘属している’という感覚はなかった。いつもどこか仮住まいのような感覚があり、いずれそこを離れるだろうと感じていた。それは、その地が好きとか嫌いとかということとはまったく別の感覚だった。 南ボヘミアのこの街で暮らしはじめて6年が過ぎた。相変わらず‘属している’感覚はないものの、肉体は確かにこの地で暮らしていくのだろうという、ちょっと説明しがたい実感を覚えている。特別な思い入れがあって選んだわけではなく、偶々巡り合った地だが、不思議な落ち着きを感じている。 久米島や、ストックホルム、フィンランド北方のサーミランドなど、旅で訪れて気に入っている場所はいくつかあるし、もし機会が与えられるならしばらく住んでみたいとも思う。一方、現在暮らしているこの地に対して、そのような強い感情が湧くことはない。けれど、「ここでいいのだな」という淡々とした納得感がある。…

村上龍の小説

XのFor You欄に、村上龍氏が残した言葉が次々と流れてくる。私が彼の小説に出逢ったのは高校生の頃だったと思う。マイルス・デイヴィスやビル・エヴァンスに出逢ったのと同じ頃だ。その後、書店にあった作品はすべて読んだ。彼は間違いなく、私の歩みに影響を及ぼした作家の一人だった。 彼の小説に出逢っていなければ、その後垣間見たいくつかの世界に興味を持つことはなかったかもしれないし、一時期身を置いた業界に足を踏み入れることもなかったかもしれない。当時を振り返るたびに、あれらは自分とは別人の人生のように感じられるが、私はある意味、ひととき彼の小説の登場人物を演じるように生きていたのかもしれない。…

Gustav’s Sky, 2026

"Gustav’s Sky" Pastel on Pastelmat 24 x 30 cm I have created a painting for my friends’ orchestra's next concert. The theme for this piece is Gustav Mahler’s Symphony No. 5. While this masterpiece is widely known for its dramatic journey “from despair to…

Gateway to Eternity

14歳の時に偶然目にした萩原朔太郎の詩に衝撃を受けて以来、私は詩人、あるいは詩そのものに憧れ続けてきた。 さきほどふと、絵を描くこともまた"Gateway to Eternity"になり得るのだと思った。 目には見えないものを見て、死者の声に耳を傾ける。 個を貫いて普遍へと至る道。…