Ateliér alchymisty

緑に囲まれた水辺に近い場所にある、明るくて風通しのよい静かなアトリエで、香りを作ったり、写真やコラージュや鉱物を用いた作品を作ったり、植物を育てたりしている具体的なイメージを想像していたのは、チェコへ来るよりもずっと前のことだ。ふと気づけば、現実があのイメージに近づいている。 でも、あのイメージの中のアトリエは、現在わたしたちが暮らしている場所ではないこともわかっている。きっと、いずれさらにふさわしい場所へと移るのだろう。それまでは、今いるこの場所に自分のための心地よい空間を作る。新しい机が届いたら、リビングルームに小さなアトリエを作るつもりだ。 調香オルガンに並ぶ香料も、幼い頃から親しんだピアノの鍵盤や色とりどりの絵具も、形は違えど同じものだとふと思う。ひとつひとつが固有の”色”や”質感”を有する材料で、それらを組み合わせることによって、無数の情景を描き出すことができる。…

イメージの中に広がる景色を香りにする遊び

高さを自由に変えられる大きな机を購入したVが、オフィス部屋をどんどん快適に作り変えている中で、ルームフレグランスがあるといいなと思いはじめたようなので、精油を使って彼のための香りをデザインすることにした。 彼をイメージするといつも見えてくる豊かな緑と水のある風景を香りにする。基本となる材料は自然と既に決定している。ベースはシダーウッド、オークモス、バニラ。そこにベルガモットも加えるつもりだ。 人に意識を傾けると、それぞれに見えてくる景色がある。その色や気配を香りという記号に置き換えて組み合わせるという、わたしだけの楽しい遊びである。…

絵を描く夢を見たことを思い出す

一週間ほど前から唐突に、アクリル絵具や水溶性油絵具を用いて絵を描く方法を紹介するYou Tube動画を見はじめた。初めはまったく何もないカンヴァスの上に、色が置かれ、混ざり、広がり、塗り重ねられていくうちに、予想もできなかったような風景や物体が形作られていく様子に見入ってしまう。 子どもの頃に通った絵画教室では、水彩絵具、油絵具、アクリル絵具、クレヨン、パステル、色鉛筆、ポスターカラーなど、毎回さまざまな画材を使って絵を描いた。自分がどんな風に描いていたかはすっかり忘れてしまったが、画材の匂いや、色が混ざりゆく時の感触がふと蘇る。 そういえば、以前にこんな夢を見たことを思い出した。 画家のアトリエで風景画を描く夢と、馴染みのあるおかきを食べる夢 今朝見た夢の中で、わたしは画家のアトリエで絵を描くことになった。アトリエまでは別の男性が案内してくれた。画家が簡単な指導をしてくれるという。大きなキャンバスには既に下絵が描かれていて、画家はまず空の部分から色を塗り始めた。紺、青、白など複数の絵の具をざっざっとキャンバスに乗せた後、筆でグラデーションを作っていく。わたしも彼と同じように筆を…

愉快な対話

今日は実に久しぶりに日本語でたくさん話をした。これまでずっと文字で会話をしてきた人と、画面越しとはいえ初めて互いの顔を見ながら声に出して話をした。あっという間の数時間だった。 彼女との対話の中で、このところ敢えて結論を出さないまま思い続けてきたことに、一つの方向性が見えてきた。昨日ふと思いついたアイデアについて話しながら、自分の中でそれが実感を帯びて具体化していくのを感じた。早速、今すぐにできるやり方から始めてみよう。 手を動かし、身体を使って何かを作ることが、必要だし重要だという話もした。何かを得るためや、誰かのためではなく、自分のために作ること。もっと言えば、ただ作るために作ること。ひたすら夢中になって作ること。頭による判断や解釈や意味付けを超える創造・創作。…

時は未来から過去へと流れる

過去の経験や経緯を振り返ると、やっぱり時というのは未来から過去へと流れているように感じられる。一つのところにあるすべての時がほどけていくようだ。この一瞬の中に無数の時がある。 過去を振り返る(そうしてそのたびに過去を今ここで作り出す)ことによって時間というものを実感するのだから、時が未来から過去へ向かって流れているように感じられるのは当たり前のことだ。今、今、今だけに専念しているときには時間の感覚は消失している。…

犬を拾う夢、シーサーのような二頭の狛犬

夢の中で、茶色い猫を抱いたまま、片手でハンドルを握って自転車でトンネルの中を走っていた。途中、コーギーのミックスのような犬が捨てられているのを見つけて自転車をとめた。人懐っこい大きな目をしたかわいい犬だった。知らない女性が現れて犬を助けようとしたので、わたしも協力することにした。女性は、その犬を安全な場所へと運ぶため透明なビニール袋に入れた。 そうして、わたしたちは一緒に移動した。公共休憩所のような場所へ辿り着き、わたしたちは犬を袋から出した。薄暗くて温かい、絨毯敷の空間だった。そこには二頭の番犬あるいは狛犬のような生き物がいて、こちらの様子を伺っていた。二頭とも大型犬ほどの大きさで、身体の毛がところどころ抜けていたか無い状態で肌が露出しており、顔はシーサーのようだった。わたしたちのことを少し警戒しているようではあったが、攻撃してくる様子はなかった。 女性が袋から出した犬の身体をチェックした後、何かの粉末をに取りだして計量した。水に混ぜて犬に飲ませるようだった。わたしたちは、保護した犬が番犬(狛犬)に攻撃されないよう慎重に動いた。二頭の番犬のうちの一頭が立ち上がってこちらの様子を見…