人は「自分がない」状態にあるだけで、虐待の連鎖を通す管になってしまう
「自分を持たずに、立場と役割を生きること」が大人になることであり、自立することだと幼少期から刷りこまれて、自分がないままになっている多くの人たちが、自分を殺しに殺して社会的上位の立場や役割に達した人によって虐待されるというシステムが、この社会では延々と機能している。それは、家庭で、学校で、組織で、国全体で繰り返されている、支配と依存のシステムだ。 わたし自身も、自分がなかった(持てなかった)が故に、いろんな人たちから、さまざまな形の虐待を受けてきた。しかし、わたしを虐待していたのもまた、わたしと同じように「自分を持つな、立場と役割を持て」と刷り込まれて立場や役割に自己同一化した人たちだった。 当然ながら、虐待する人たち=自分を殺しに殺して立場と役割に同一化した人たちには、自分が虐待をしているという自覚はない。なぜなら、自分が他者から受けてきたことを、当たり前のこととして自分もやっているだけだからだ。虐待は、それが「虐待」であると認識されないまま繰り返されて連鎖する。 このシステムの要点は、虐待をする人も、虐待をされる人も、自分がない状態であることだ。つまり、虐待を受ける人もまた、…