意図を打ち出す

さくらのごはんを作っている最中、不意に「意図があるものには勝てない」という言葉がやってきて、すとんと腑に落ちた。 意図を持たないものは、意図があるものに流される。巻きこまれて流されたくなければ、自分の意図を持つしかない。 松村潔氏は「人生は意のままにならないんです、という人は、高次思考センターが不在だからであり、(そういう人は)流木として生きなくてはならない。」と書いていた。 思うようには生きられない、運命は変えられない、などという人は、自らの意図を持たない/打ち出さないが故に、流され続けているということだ。…

2本の抜歯と物語からの脱却

今日もまた抜歯術を受けてきた。マイクロスコープを使った根管治療を始める前に医師から説明を受けて納得していたので、治療途中に抜歯へと施術が変更されてもすんなり受け入れることができた。 9月に上顎左の第二大臼歯を、昨日は右の第二大臼歯を抜歯した。いずれも周期的にトラブルが生じては、何度も治療を受けて来た歯だった。第二大臼歯は母親・父親との関係を表すという説を知り、なぜこの2本の歯にばかり負担が生じていたかがわかった。抜歯した今はもう不要な無理が生じることはない。 昨年夏に母が肉体を有する個としての存在ではなくなり、長年続けてきた”物語”がいよいよ完結した実感を味わった後、歯を抜くことになった。父はまだ生きているが、先日久しぶりに電話で話をした際に、心地よい分離感を味わった。そうしてまた歯を抜いた。ようやく単独で自分を生きる・創る時が始まる。 立場ではなく、属性でもない、ただの生き物としての感覚を味わいながら、どんな影も統合して、自分を大きくしていく。意味や理由ではなく、過去でも未来でもなく、ただただ今現在の自らの取り組みに専念する。自分を生きるってそういうことだ。そうして、縦軸を自在…

Ateliér alchymisty

緑に囲まれた水辺に近い場所にある、明るくて風通しのよい静かなアトリエで、香りを作ったり、写真やコラージュや鉱物を用いた作品を作ったり、植物を育てたりしている具体的なイメージを想像していたのは、チェコへ来るよりもずっと前のことだ。ふと気づけば、現実があのイメージに近づいている。 でも、あのイメージの中のアトリエは、現在わたしたちが暮らしている場所ではないこともわかっている。きっと、いずれさらにふさわしい場所へと移るのだろう。それまでは、今いるこの場所に自分のための心地よい空間を作る。新しい机が届いたら、リビングルームに小さなアトリエを作るつもりだ。 調香オルガンに並ぶ香料も、幼い頃から親しんだピアノの鍵盤や色とりどりの絵具も、形は違えど同じものだとふと思う。ひとつひとつが固有の”色”や”質感”を有する材料で、それらを組み合わせることによって、無数の情景を描き出すことができる。…

イメージの中に広がる景色を香りにする遊び

高さを自由に変えられる大きな机を購入したVが、オフィス部屋をどんどん快適に作り変えている中で、ルームフレグランスがあるといいなと思いはじめたようなので、精油を使って彼のための香りをデザインすることにした。 彼をイメージするといつも見えてくる豊かな緑と水のある風景を香りにする。基本となる材料は自然と既に決定している。ベースはシダーウッド、オークモス、バニラ。そこにベルガモットも加えるつもりだ。 人に意識を傾けると、それぞれに見えてくる景色がある。その色や気配を香りという記号に置き換えて組み合わせるという、わたしだけの楽しい遊びである。…

絵を描く夢を見たことを思い出す

一週間ほど前から唐突に、アクリル絵具や水溶性油絵具を用いて絵を描く方法を紹介するYou Tube動画を見はじめた。初めはまったく何もないカンヴァスの上に、色が置かれ、混ざり、広がり、塗り重ねられていくうちに、予想もできなかったような風景や物体が形作られていく様子に見入ってしまう。 子どもの頃に通った絵画教室では、水彩絵具、油絵具、アクリル絵具、クレヨン、パステル、色鉛筆、ポスターカラーなど、毎回さまざまな画材を使って絵を描いた。自分がどんな風に描いていたかはすっかり忘れてしまったが、画材の匂いや、色が混ざりゆく時の感触がふと蘇る。 そういえば、以前にこんな夢を見たことを思い出した。 画家のアトリエで風景画を描く夢と、馴染みのあるおかきを食べる夢 今朝見た夢の中で、わたしは画家のアトリエで絵を描くことになった。アトリエまでは別の男性が案内してくれた。画家が簡単な指導をしてくれるという。大きなキャンバスには既に下絵が描かれていて、画家はまず空の部分から色を塗り始めた。紺、青、白など複数の絵の具をざっざっとキャンバスに乗せた後、筆でグラデーションを作っていく。わたしも彼と同じように筆を…

愉快な対話

今日は実に久しぶりに日本語でたくさん話をした。これまでずっと文字で会話をしてきた人と、画面越しとはいえ初めて互いの顔を見ながら声に出して話をした。あっという間の数時間だった。 彼女との対話の中で、このところ敢えて結論を出さないまま思い続けてきたことに、一つの方向性が見えてきた。昨日ふと思いついたアイデアについて話しながら、自分の中でそれが実感を帯びて具体化していくのを感じた。早速、今すぐにできるやり方から始めてみよう。 手を動かし、身体を使って何かを作ることが、必要だし重要だという話もした。何かを得るためや、誰かのためではなく、自分のために作ること。もっと言えば、ただ作るために作ること。ひたすら夢中になって作ること。頭による判断や解釈や意味付けを超える創造・創作。…