歯の根の奥で影にされていた悲しみ
体に生じるあらゆる炎症は怒りを象徴していると以前に読んだことがある。わたしの場合、上顎大臼歯の根の周囲に炎症が見つかった。痛みも表立った症状もほとんどなかったし、数年前に根管治療を受けていたので大丈夫だと思って忘れていた。 だが、実際には、見えないところで炎症は広がっていた。それはつまり、大丈夫だという思いは頭の都合でしかなかった(そう思っていたかった)ということだろう。頭がすっかり「無いもの」として忘れていた間にも、身体という自然の中では必然的な現象(炎症)が起こり続けていたということだ。 歯科クリニックで診断を受けた後、説明のつかない深く静かな悲しみがじわりじわりと溢れ出してあらゆる思考を覆った。気付かぬうちに手が付けられないほど炎症が進行していたという事実にショックを受けて、しばらくは何もできなかった。歯の根の炎症という怒りの奥にあったのは悲しみだった。 あれから2週間が過ぎた。溢れ出した悲しみは、ただただじっと受け入れているうちに少しずつ溶けていった。そして今日、あの悲しみは、思い通りにならないという落胆だったのではないかと思った。必要な助けを得られなかった(求められなか…