Utsjoki/Ohcejohka

ウツヨキ(Utsjoki/Ohcejohka)は、空も、川も、山(英語では"fell"と呼ばれる)も、すべてがあまりに壮大で、写真に撮るのが難しい。ここは、イナリとは気配がまったく違っている。大きくて、広くて、とても静かだ。時の流れすら異るように感じられる。 0:00 /0:15 1× フィンランドとノルウェーの国境にもなっているテノ川(Tenojoki/Deatnu)に架かるサーミ橋まで歩いてみた。 イナリよりもさらに125 km北に位置するウツヨキは、EU最北の地域でもある。もちろんここでも太陽は一晩中沈むことはなく、22時を過ぎても、イナリで見たより高い位置にある。 夜22時半の気温は5℃。…

Ohcejohkaへ

13時までホテルに滞在し、すっかり定番となったSajos内のレストランČaijuでゆっくりランチを楽しんだ後、一昨日出逢った女性に紹介されたシルバージュエリー店Inarin Hopeaに立ち寄った。この店のジュエリー職人兼オーナーである男性の息子さんは日本に住んでいらっしゃるそうで、私が日本人だとわかると、店頭に立っておられた義理の息子さんがいろんな話をしてくださった。普段私はシルバージュエリーを身に着けることはないけれど、愉快な出逢いだったので、記念に小さなトナカイのペンダントを購入した。 16時45分、予約していたバスに乗ってウツヨキ(Utsjoki/Ohcejohka)へ向かう。乗客は、私の他には3人の女性たち(+ワンちゃん)のみで、バスの中はすいていた。 イナリからウツヨキまでは、フィンランドで最も長い国道である4号線(欧州自動車道路E75号線)をひたすら北上する。車窓を流れる風景が壮大さを増していく。途中、道中にあるこじんまりしたレストラン兼コテージで15分の休憩があった。ウツヨキの手前の小さなバス停で降りて行った老女性が、私に向かって英語で「この地でよいJuhannus…

3度目のJäniskoski

イナリに滞在する最後の夜。この日も白夜の空がとてもきれいだったので、21時頃からまたJuutua川沿いのハイキングルート(Juutuan Polku)を歩いて、Jäniskoski/Njuámmilcooskâs急流へ向かった。 途中、ふと足を止めてじっと佇んでいたら、不意に穏やかな風が吹き抜けて、目の前の白樺の木の枝を揺らした。まるで風と木に話しかけられたかのように感じて、思わず私も語りかけた。するとまたそよ風が吹き、木の枝葉が静かに揺れた。そんなやり取りを何度も繰り返した。 0:00 /0:15 1× Jäniskoski/Njuámmilcooskâs、22時30分 0:00 /0:33 1× ここにはきっとまた帰ってくる。心鎮まる不思議な場所。 夜の太陽に照らされた世界は少しあの世じみている。…

旅先での出逢い

イナリに滞在していた間は毎日、サーミ議会・文化センターSajosの中にあるレストランRavintola Čaijuに毎日通っている。この日は少し混んでいたので、同じく一人で食事をしていた女性と相席させてもらった。日替わりメニューのトナカイシチューを食べていたら、同じテーブルの女性から「一人旅ですか」と尋ねられ、それをきっかけに話題が広がって、1時間ほど話をした。彼女はポーランド出身で、留学時代に出逢ったフィンランド人男性と結婚し、現在はヘルシンキに住んでいるとのことだった。 その後、Juutua川で釣りをしていた彼女の夫さんと息子さんたちにもお会いして挨拶をし、年長の息子さんから「一緒にサーミ博物館SIIDAに行こう」と誘われたので、昨日に続いて再訪することにした。途中、彼女たちが知るローカルなカフェのオーナーと立ち話をしたり、博物館ではトナカイ縄のゲームに挑んだりと、思いがけない展開を楽しんだ。 0:00 /0:04 1× 博物館を出て川の方へ戻ると、彼女の夫さんと息子さんは魚を見事に釣り上げて…

銀色がかった世界

サーミ博物館SIIDAの屋外展示があるエリアの木々と光。濃密な展示を見る合間にも、この光と色に魅せられていた。ここでは、あらゆるものが銀色がかった光に包まれて見える。 0:00 /0:15 1× 空にはハロが現れていた。…

サーミ博物館SIIDAへ

サーミランドへの旅を考え始めたきっかけでもある、イナリにあるサーミ博物館 SIIDA - Saamelaismuseo ja Luontokeskus を訪れた。 この博物館では、北部サーミランドの自然と密接に結びつくサーミの文化や伝統、歴史を、多彩な角度から紹介し解説している。ゲートを通って展示室のある2階へ上がると、まずは北部サーミランドの土地の成り立ちと、サーミの文化、伝統、歴史等を紹介する展示室が広がっている。大きなスクリーンで語られる内容に釘付けになってしまって、残念ながら展示物の写真を撮り忘れてしまった。 その隣には、北部サーミランドの自然について紹介する大きな展示室がある。ここは、最終氷河期以降の気候の変化と歴史に焦点を当て、未来の気候変動を推測する内容となっている。サーミランド北部の自然保護地域と、その多様な環境、そこに生息する生物の種類と生態がかなり詳細に展示・解説されている。 どの展示室も中身が非常に充実している上に、音声や映像で体験できるものも多く、屋内展示だけでもじっくり見て回ると数時間はかかった。さらには広大な野外展示もあって、すべてをきちんと見学するに…

夜の太陽に照らされてひとり歩く

白夜の空の様子があまりに魅力的だったので、23時過ぎから再びJuutua川(Juutuanjoki/Juvduujuuhâ)の上流へ向かうことにした。夜の太陽に照らされて、静寂の中をたった一人で歩く。途中、灰色がかった白い毛の野うさぎの姿を目にした以外、誰にも出会うことはなかった。 Jäniskoski、0時。地平近くまで傾いた深夜の太陽に照らされて、木々がほのかに赤く染まっている。 0:00 /0:33 1× 岩の上でしばしただただ空の変化を眺めていた。 Inarijärvi/Aanaarjävri、午前1時。 0:00 /0:15 1× 夜の太陽に照らされたこの地の自然は、ひたすら静謐で、神秘的で、まるでこの世ではないような感覚に陥る。…

Juutuan Polku

Juutua川沿いのハイキングルート(Juutuan Polku)は約6.4km。聞こえてくるのは、Juutua川が流れる音と鳥たちの声だけ。古代からずっと変わらぬ眺めと気配が残っているような、神秘的で、不思議な場所だ。歩いているだけで心身が癒えていき、エネルギーが補給されて、いくらでも歩けそうな気がする。 この光。ずっとここにいたくなる。…