実存か架空か

随分昔のことをふと思い出しては、実はあれは架空の出来事だったのではないかなどと思う。たとえば、あの人もあの場所も実在ではなく、すべて作り話だったのではないかという気がして、すると、そもそも自分すら架空の存在だったように感じられて、おもしろい。 この感覚はある意味では真実なんだろう。…

どこでもない、誰でもない

部屋の大きな窓から日が昇る前の空をぼんやり眺めていると、ふとここがどこなのか、今がいつなのか、自分は誰なのかがわからなくなって、心地いい。 朝の鳥たちの声はにぎやかだけれど、どこでもないここはとても静かだ。…