海の夢、そしてアルゴー船
日食が起きている頃に海の夢を見た。わたしは渚を歩きながら、ゆったりのたうつ海を眺めていた。深い藍色の海原は手前になるにつれ緑を帯び、絶え間なく寄せくる波が作る白い飛沫が美しい文様を描いていた。やがて、巨大な古い木造帆船の一部が視界に入った。わたしは「これがわたしが撮った写真に写っていた船か」と思っていた。 船の全体は見えなかったが、視界に入った部分だけでも相当な大きさだった。いくつもの太い木材がしっかりと組み合わさっており、その重厚感にはわずかに恐怖すら感じた。船体からは、これまでにいくつもの厳しい航海を経てきたであろう風格が漂っていた。 場面は変わり、わたしは木の杭の上を渡り歩きながら、引き潮の海を眺めていた。みるみるうちに水が引いていき、渚は広さを増していった。動いていく水を足に感じながら、浅瀬を歩いた。辺りには誰もおらず、とても静かだった。景色は全体的に翳りを帯びていたが、海の色は鮮やかで美しかった。 目が覚めた後、アルゴー船の名が頭に浮かんだ。イアーソーンがコルキスの黄金の羊の毛皮を求めて旅に出るために建造された巨大な船。ヘラクレスや、双子のカストールとポリュデウケー…