美しく、素敵なところ

ヴァルデマーシュウッデ(Waldemarsudde)は、エウヒェン王子(Prince Eugen, Duke of Närke)の作品をはじめとする数々の芸術作品はもちろんのこと、建物も、庭も、眺めも、周囲の環境も、すべてが美しいところだった。燦燦と降り注ぐ光の中、きれいに整えられた庭を歩きながら、「王子、いいところで暮らしていらっしゃったんですね」と思わず心の中で語りかけてしまった。 周辺では、たくさんのカオジロガンの幼鳥たちが「ひよひよ」と可愛い声で鳴きながら、親鳥の後について草を啄んでいた。中には何か勘違いをしたのか、嘴に草を挟んだまま私にむかってトコトコと突進してきた幼鳥もいた。 0:00 /0:16 1×…

Prinsens kök

ヴァルデマーシュウッデ(Waldemarsudde)には、エウヒェン王子(Prince Eugen, Duke of Närke)の食事が調理されていた厨房も残されていて、現在は「プリンスのキッチン(Prinsens kök)」というカフェ&レストランになっている。ここで食べたランチは、ストックホルム滞在中に食べた中でも特に美味しいひと皿だった。…

Prins Eugen av Sverige

今回ストックホルムに到着してすぐ、ネルケ公爵エウヒェン王子(Prince Eugen, Duke of Närke)が若い頃にアトリエを構えていたという建物の前を偶然通りがかった。私は彼が描いた雲の作品が大好きで、彼の邸宅跡であるヴァルデマーシュウッデ(Waldemarsudde)は、今回ストックホルムを訪れた目的の一つだった。そこで、王子について改めて調べてみた。 「絵を描く芸術の王子」として知られるエウヒェン王子は、王族の趣味として絵を描いたのではなく、若い頃には芸術の都パリで本格的に美術を学び、生涯を通じて一人の芸術家として生きることを志し続けた人だった。彼は、優れた風景画家として活躍する傍ら、同時代の芸術家たちを支える強力なパトロンとしても貢献し、精神的にも経済的にも当時のスウェーデン芸術界を大きく牽引した。さらには、当時は冷遇されていた女性画家たちの作品をいち早く評価・購入し、その地位向上と活躍の場を広げるために尽力した。 また、彼のリベラルで先進的な精神は、第二次世界大戦中にも揺らぐことはなかった。反ナチスの抗議活動を公然と支援し、ナチスの手を逃れてきた芸術家たちを…

Waldemarsudde

今日は、ストックホルムを訪れた目的の一つである、「絵を描く王子/芸術の王子」と呼ばれるネルケ公爵エウヒェン王子(Prince Eugen, Duke of Närke)の邸宅跡「ヴァルデマーシュウッデ(Waldemarsudde)」を訪れた。 ヴァルデマーシュウッデは、展示されている作品も、邸宅跡も、周辺の環境も、すべてが実に美しい夢のようなところだった。一度は観たかった作品群にようやく出逢えただけでなく、親切なスタッフから一時間近くも色々なことを教えてもらい、実に贅沢な時間を過ごした。 この美術館は、エウヒェン王子の元邸宅と、後に新設されたギャラリー棟に分かれている。元邸宅は3階建てで、1階には当時のインテリアや家具が展示され、2階では、ギャラリー棟の特別展示「In Bloom – Art & Botany」に合わせたのか、王子や当時王子と交流のあった画家たちが描いた花と植物の作品が展示されていた。 3階へと続く階段を昇ると、回廊にいよいよ私が見たかった王子の風景画作品が現れた。3階にある一番広い部屋は、王子のアトリエだったそうだ。大きな窓から優しい光が降り注ぐこの部屋には、王…

ストックホルム散策

今日は美術館がすべて休館日だったため、最初からのんびり過ごすつもりだった。昼近くまで眠って移動の疲れを癒した後、ゆっくりとホテルを出て、フムレゴーデン(Humlegården)公園の向かいに建つ、かつてアクセル・ファールクランツ(Axel Fahlcrantz)ゆかりのサロンがあったという建物までのんびり歩いた。 ストックホルムの中心部にありながら、フムレゴーデン公園は緑に溢れていて、静かで実に居心地のいい場所だった。ファールクランツもこの公園を歩き、木々を見上げ、光や空の変化を眺めたのだろうかと想像しながら歩くのは愉快だった。 たくさんの大きな木々が立ち並ぶ中、特別にいい感じの木を見つけて近づいたところ、傍にもう一人、その木の写真を撮っている女性がいて、言葉は交わさずとも、束の間の共振を味わった。…

ストックホルムへ

先月に引き続き、再びスウェーデンにやってきた。 今回滞在するのは首都ストックホルム。ストックホルムは地下鉄の駅がユニークで、90以上の駅で、剥き出しの岩盤に描かれた様々なアートが楽しめるそうだ。ホテルの最寄駅「Stadion駅」は、1912年に開催されたストックホルム・オリンピックのメイン会場となった競技場のすぐ近くにある。改札近くの壁には、大会当時に作られた公式ポスターも飾られていた。 駅から地上に出てすぐ、たまたま通りがかった建物の入口に掲げられたプレートに目が留まった。なんと、1889年~1896年にネルケ公爵エウヒェン王子(Prince Eugen, Duke of Närke)がアトリエを構えていた場所らしい。今回私はまさに、彼や、彼と同時代に活躍した、エウヒェン・ヤンソン(Eugène Jansson)、カール・ノードシュトレム(Karl Nordström)、ブルーノ・リリエフォルシュ(Bruno Liljefors)、そして敬愛するアクセル・ファールクランツ(Axel Fahlcrantz)といった画家たちの足跡を追ってこの街に来たのだ。この偶然に、まるで王子から「…

絵を描くことと、自然環境への影響

季節柄か、最近は屋外制作の動画をよく見かける。中には、絵の具をそのまま地面や海に垂れ流している作家もいて、作品の良し悪し以前に、環境への配慮の方が気になってしまう。ある作家は、コメント欄に投げかけられた質問に対し「生分解性絵の具を使用している」と書いてはいたけれど。 パステルよりも携帯性が高そうだと思って始めた水彩画で、まず直面したのは、筆を洗った水の処理方法だった。現在は描く絵が小さく、水の量も少ないため、使用後の水を一晩から一日置いて絵の具の成分を沈殿させ、上澄みを除いた残りを使用済のキッチンタオルや古布に吸わせて可燃ごみとして廃棄している。 そういえば、水彩絵具に目を向けたそもそものきっかけは、屋外で絵を描くにあたって、重金属顔料を含むパステルの粉を自然環境の中にまき散らしたくないなと思ったことだった。3年とちょっとパステルで絵を描いてきて、画材の特性にも少しは慣れたのか、最近は粉もあまり飛び散らなくなり、指を拭くキッチンタオル等の使用量も随分と減った。とはいえ、風も吹いている屋外では、パステルの粉が完全に飛び散らないようにするのは不可能だ。 生きて存在している限り、環境へ…